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再生医療に期待されるパーキンソン病治療のパラダイムシフト

水上 徹

リサ・リューション事業部
ソリューショングループ(Pharmaceuticals & Medical)
シニアアナリスト

2018年の(2回目の)入社当時から現在まで、医療用医薬品領域において、患者・ドクター調査および受託調査を担当。特に自己免疫疾患や精神神経疾患の調査に、数多く携わっている。

 Medical領域のリサーチ担当の水上と申します。このたび、日々業務で感じていることを、自由な視点(M’s EYE)でお届けしたいと思っております。

第6回は「再生医療に期待されるパーキンソン病治療のパラダイムシフト」です。

再生医療をめぐる最近の動向

 再生医療は、これまで治療が困難であった疾患に新たな選択肢をもたらし、また根本治療につながる可能性を秘めた、非常に期待の大きい治療です。

今年は、外傷性脳損傷に対する再生医療等製品「アクーゴ」が、出荷制限に関する条件を解除する一部変更承認を取得したことで、市場投入が見込まれています。

また、最近注目を集めている話題の1つとして、住友ファーマが2025年8月に承認申請を行ったパーキンソン病に対するiPS細胞由来細胞治療があります。本治療は、iPS細胞から作製した神経細胞を脳内に移植し、ドパミン産生機能の回復を目指すもので、承認されれば、世界初のiPS細胞由来製品となる可能性があります。

本製品は、承認された場合、「条件および期限付き承認」となる見通しとされており、上市後に追加の有効性・安全性データを取得するための検証試験が求められます。これまでにも同制度を活用した製品は存在しますが、本承認への移行は簡単ではなく、製品化された後も、継続的なエビデンス構築が大きな課題となります。

パーキンソン病治療に期待されるパラダイムシフト

パーキンソン病は、現在も症状の進行を緩やかにする治療は存在するものの、病態そのものを食い止める確立した治療法はまだありません。

私の身内もパーキンソン病を患っていますが、比較的緩やかに経過していた状態から、ある時期を境に急速に症状が進行し、日常生活に大きな支障をきたす状況となりました。こうした経験からも、進行抑制や機能回復を目指す新たな治療選択肢が一般化することへの期待は非常に大きいと感じています。

一方で、再生医療の社会実装には多くの課題も存在します。制度設計、製造プロセスの確立、安全性の担保、有効性エビデンスの構築などに加え、医療経済面でも大きなハードルとなります。高額な治療となる場合、患者負担だけでなく、公的医療保険制度全体への影響も考慮する必要があり、持続可能な仕組みづくりが求められます。

弊社が実施したパーキンソン病患者さん・ご家族を対象とした調査においては、再生医療に対する関心は高く、新たな治療選択肢として前向きに捉えていることが示されています。従来の治療で効果を実感できていない、ほぼ確実な進行が見込まれるような患者層には、こうした先端医療への期待は高い傾向にあります。

同じ神経領域であるアルツハイマー型認知症においても、近年アミロイドβを標的とした抗体医薬の登場により、治療パラダイムが大きく変化しつつあります。パーキンソン病においても、再生医療を含む多様なアプローチが進展することで、治療の大きな進展を期待したいと思います。

ありがとうございました。次回もぜひお読みいただけますと幸いです!

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