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治療選択のリアルー調査からみえる実臨床の傾向ー

水上 徹

リサ・リューション事業部
ソリューショングループ(Pharmaceuticals & Medical)
シニアアナリスト

2018年の(2回目の)入社当時から現在まで、医療用医薬品領域において、患者・ドクター調査および受託調査を担当。特に自己免疫疾患や精神神経疾患の調査に、数多く携わっている。

 Medical領域のリサーチ担当の水上と申します。このたび、日々業務で感じていることを、自由な視点(M’s EYE)でお届けしたいと思っております。

第7回は「治療選択のリアルー調査からみえる実臨床の傾向」です。

ガイドラインと実臨床のギャップ

 多くの疾患においては、学会やKOLの先生方により作成された治療(診療)ガイドラインや指針(以下ガイドライン)が存在しており、医師はこれらを参考に患者さんの治療を行っています。

一方で、実臨床においては、必ずしもガイドライン通りに治療が行われているとは限りません。

ガイドラインでは、主に有効性や安全性、患者背景(併存疾患やバイオマーカーの有無など)が重視されています。

しかし実際には、これら医学的要素に加え、治療費用、侵襲性などの治療負担、患者さんの希望、さらには病院の方針などといった多様な要因が複合的に関与し、総合的な判断のもとで治療が決定されています。

調査から見える治療選択に影響する多様な要因

弊社で実施した医師へのインタビュー調査においても、費用面においては、患者さんの自己負担の大きさや経済状況、それに関与する医療費助成制度の適用状況に加え、医療経済的な観点からも、最適な治療が導入されないケースが一定数認められました。

これは、以前もふれましたが、イノベーションの進展に伴い、治療において、高薬価な薬にシフトしてきていることも大きく影響していると考えられます。

また、侵襲性や剤型に対する患者さんの希望も重要な要素と言え、注射治療を避けたい、通院回数を減らしたい、短期で状態をよくしたいなどの意向が、治療選択を左右することも少なくありません。

さらには、患者さんの治療に対する理解度やアドヒアランスへの懸念、施設の採用方針や統一的な処方ルールなど、様々な要因が重なり合うことで、ガイドラインには現れない多様な治療実態が形成されています。

ガイドラインは治療を決めるためのベースとして活用され、そこに患者個々の背景、医師の経験や考え、外部環境などが重なり、最終的な治療が決定されていることが再認識される結果といえます。

治療普及に向けて求められる視点

このような治療選択のリアルを踏まえると、治療の市場浸透や研究開発においても、臨床的な有効性や安全性だけではなく、費用負担や治療負荷、患者理解や合意、施設運用など、現実的な価値も重要な評価軸となることが、あらためて認識されます。

医師が最適と理解していても、現実的に選択しづらい要素をすこしでも減らすこと、すなわち、それぞれの疾患に沿った治療選択の構造を理解することが、治療を普及させていくうえでのカギになるといえます。

こうした理解の一助として、医師や患者さんへの実際の調査データをご活用いただければ幸いです。

ありがとうございました。次回もぜひお読みいただけますと幸いです!

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