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AI活用による次世代抗体開発の進展

水上 徹

リサ・リューション事業部
ソリューショングループ(Pharmaceuticals & Medical)
シニアアナリスト

2018年の(2回目の)入社当時から現在まで、医療用医薬品領域において、患者・ドクター調査および受託調査を担当。特に自己免疫疾患や精神神経疾患の調査に、数多く携わっている。

 Medical領域のリサーチ担当の水上と申します。このたび、日々業務で感じていることを、自由な視点(M’s EYE)でお届けしたいと思っております。

第10回は「AI活用による次世代抗体開発の進展」です。

【次世代抗体への期待と開発の活発化】

 近年、抗体薬物複合体(以下ADC)やマルチスペシフィック抗体/バイスペシフィック抗体(以下MsAb/BsAb)に代表される次世代型抗体医薬品(以下次世代抗体)の開発が活発化しています。

これらは従来のモノクローナル抗体が単一標的への結合を中心としていたのに対し、次世代抗体では複数の機能を付加することで、有効性や安全性、腫瘍選択性などの向上を図るほか、難治疾患や難治症例に対する新たな治療選択肢としても期待されています。

【複雑化する開発とAI活用の広がり】

一方で、次世代抗体の開発では、従来の抗体以上に分子設計が複雑化しています。
例えば、ADCでは標的抗体に加え、リンカー、ペイロード、薬物抗体比(DAR)、バイスタンダー効果など、BsAbでは複数標的への結合能に加え、鎖ミスペアリング、分子安定性、サイトカイン放出症候群(CRS)リスク、発現性など、多面的な設計要素が存在しています。
このため、実際に開発を進めてからも、期間やコストなどの負荷が増大することが考えられます。

こうした背景から、近年ではAIを活用した次世代抗体の開発が進んでいます。

具体的には、新規標的探索、薬剤候補のスクリーニング、創薬プラットフォームの構築、抗体配列設計・最適化、臨床開発プロセスなどといった工程の効率化にAIが活用されており、複雑化する次世代抗体の開発において、親和性が高いといえます。

例をあげると、AstraZenecaではADCの開発において、AI研究プラットフォーム「MILTON」を活用し、マルチオミクス解析による新規標的探索や、設計・エンジニアリングの最適化を進めているほか、他治療法との併用検討などにも、自社開発の計算病理学ツール・ソリューションを活用しています。

また、中外製薬では、次世代抗体などの高難易度創薬のために、AI技術を様々なプロセスで積極的に活用しています。例として、同社独自のAI技術「MALEXA」を用いて、従来よりも優れた、また高度に最適化された抗体配列のデザインが可能になっています。

さらに、次世代抗体開発で存在感が高まる中国企業においても、AI活用が進められており、DualityBioのBsADC(二重特異性抗体薬物複合体)プラットフォーム「DIBAC」では、AI活用による標的選択や抗体設計技術を取り入れています。

AIをいかに創薬・開発プロセスに組み込み、各工程において、効率化・最適化していくことが、今後の開発競争を左右する重要なポイントの1つになると考えられます。

なお、弊社では、「2026年 次世代型抗体医薬品の研究開発動向」というテーマで、先月に新刊レポートを発刊いたしました。

本レポートでは、ADCおよびMsAb/BsAbの研究開発動向を調査するとともに、将来の市場環境や研究開発の方向性を明らかにしておりますので、ご興味がございましたら、ぜひご試読いただけますと幸いです。

ご希望の場合は、弊社までお問合せくださいませ。

ありがとうございました。次回もぜひお読みいただけますと幸いです!

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